「クレジットカード不正利用」原因と手口から考える有効な予防・対策を解説
2024-05-30
目次
クレジットカード不正利用は年々増加している
クレジットカードの不正利用による被害は年々増加しています。日本クレジット協会の調査によると、2023年の被害額は540.9億円で、2022年の436.7億円から23.86%も増加しており、この傾向は今後も続くことが予想されます。
現在、クレジットカードの不正利用で最も被害額が大きいのは、クレジットカード番号の盗用による被害です。2022年の不正利用被害額は約437億円で、そのうち94%にあたる約412億円がカード番号の盗用が原因だと報告されました。
カード番号の盗用は、クレジットカードが物理的に盗難に遭う場合だけでなく、クレジットカード番号やパスワードなどの情報が盗み取られて悪用されるケースがあります。
クレジットカードが不正利用される原因は情報の流出
クレジットカードが不正利用される原因の一つが、カード情報の流出です。利用者が安全だと思って利用したネットショップや、うっかりアクセスしてしまった詐欺サイトから、クレジットカード情報が漏洩してしまうケースが後を絶ちません。
怪しいメールやサイトには決してアクセスせず、信頼できるネットショップを利用することが重要です。また、万が一情報が流出した場合に備え、利用明細を定期的に確認する習慣をつけることも大切です。
クレジットカード不正利用の7つの手口
クレジットカードを不正利用する手口は多岐にわたります。以下に代表的な7つの手口を解説しますので、身近に潜む危険を理解し注意を払いましょう。
クレジットカードの盗難
スリやひったくりによる直接的な被害、置き忘れや紛失したクレジットカードの盗難など、物理的な盗難によるケースが多く報告されています。また、空き巣や車上荒らし、電車内や駅で眠り込んでいる人からの盗難なども考えられます。
フィッシング詐欺
フィッシング詐欺は、実在する企業を装って個人情報を盗む手口です。金融機関やカード会社などを装った偽メールから偽サイトへ誘導し、カード情報や暗証番号の入力を促します。メールだけでなく、SMSやSNSのダイレクトメッセージも横行しています。
スキミング(クレジットカードの偽造)
スキミングは、クレジットカードの磁気データを不正に読み取り、偽造カードを作成する手口です。犯罪者は、「スキマー」と呼ばれる小型の読み取り装置を使って、カード情報を盗み出します。
よく知られているスキミングの手法の一つが、ATMの読み取り口にスキマーを取り付ける方法です。また、ゴルフ場やジム、スパなどの施設では、ロッカー荒らしによってスキミング被害が発生することもあります。
スキミングの怖さは、カードそのものが盗まれるわけではないため、被害に気付くのが遅れることです。不正利用されて初めて被害が発覚するため、「いつ、どこで情報が盗まれたのか」を特定するのが非常に難しくなります。
こちらは、アメリカのコンビニエンスストアのレジにスキマー装置が取り付けられていたことを発見した動画です。このように犯罪の手口は非常に巧妙化しています。
ネットショッピング詐欺
ネットショッピング詐欺は、消費者が商品を注文し代金を支払ったにも関わらず、商品が届かず、販売者と連絡が取れなくなるという手口です。届いた商品が偽物だったり、全く別の商品だったりするケースもあります。
また、有名サイトにそっくりな偽サイトに誘導し、「見覚えのあるサイトだから安心」と思わせて個人情報を入力させるケースも増えています。一見、本物との区別がつきにくいため、うっかりクレジットカード情報を入力してしまい、被害に遭う人も少なくありません。
ネットショップからの情報漏洩
ネットショップからの情報漏洩とは、ネットショップへの不正アクセスによって個人情報であるクレジットカード情報が流出するケースです。セキュリティ対策は常に万全を期していますが、不正アクセスの手口も進化しており、リスクがゼロになることはありません。
出会い系サイト詐欺
出会い系サイト詐欺は、サイト内でのメッセージのやり取りや、プロフィールを閲覧するためのポイントをクレジットカード決済で購入させる手口です。
この手口の厄介な点は、利用者自らが出会い系サイトに登録してしまったという負い目から、被害を申告しにくい点にあります。また、サイト側も巧妙に法律の抜け道をついているため、詐欺であると立証することが難しいケースが多いのです。そのため、被害者が泣き寝入りするケースも多いようです。
なりすまし
他人のクレジットカード情報を使って買い物をし、カード名義人になりすます手口です。不正に入手した商品を転売するのが目的で、ブランド品や精密機器などが狙われやすい傾向にあります。
クレジットカードの不正利用が疑われるときの確認方法
クレジットカードが不正に利用されたのではないかと疑念を持ったら、以下の3つのポイントを確認しましょう。
利用明細の日付・利用先・金額を確認する
利用明細書に記載された「利用日」と「利用金額」を見て、いつ、どこで、何に使ったのかを思い出してみてください。
ただし、利用日は実際に商品を購入した日ではなく、売上処理された日や商品発送日である場合もあります。心当たりのない日付での利用が記録されている場合は、取引内容が記載されたメールなども確認してみましょう。
利用した店舗の名称と明細が合っているかを確認する
利用明細に記載された会社名が、実際に利用した店舗名と異なることがあります。たとえば、ガソリンスタンドなどは運営会社名が表示されていることが多く、デパートなどは商業施設名で記載されることが多いようです。
ECサイトでの購入時には、店舗名やウェブサイト名と異なる名称で請求される旨の注意書きが自動送信メールに記載されている場合もあります。明細書だけでなく、利用先から送られてくるメールも確認しましょう。
家族がクレジットカードを利用していないか確認する
同じパソコンやタブレット端末を家族で共有している場合、家族の誰かがクレジットカードを利用したかもしれません。一度でもカード情報を登録したことのあるウェブサイトでは、情報が保存されている場合があるからです。
端末を共有している家庭では、家族にも利用していないか確かめましょう。また、家族カードを追加発行している場合、家族カードでの利用分も一緒に請求されます。自分が身に覚えのない請求でも家族の利用分という可能性があります。
なお、クレジットカードは会員本人以外の利用が禁止されています。家族に使わせたり、カード情報を教えたりしないよう注意が必要です。
クレジットカードを不正利用されたときにするべきこと
クレジットカードが不正利用された場合、更なる被害を防ぐために以下の3つの対応を迅速に行いましょう。
クレジットカード会社に連絡して利用を停止する
不正利用が確認された時点で、直ちにクレジットカード会社に連絡し、カードの利用停止を依頼してください。
カード会社は不正利用があったかどうかを調査し、不正利用と判断された場合には補償制度の手続きなどを進めます。調査対象のクレジットカードと利用明細書を手元に用意しておくと、スムーズに手続きを進められます。
クレジットカードを紛失したり盗難に遭ったりした場合も、不正利用を防ぐためにカード会社へ連絡し、速やかに利用停止を依頼することが重要です。
警察に被害届を出す
不正利用が確認された場合は、警察に被害届を提出しましょう。被害届が受理されると、受理番号が発行されます。この番号をカード会社に伝えておくことで、警察へ正式に届け出たことを証明できます。
クレジットカードの再発行を依頼する
クレジットカードの利用停止後、調査の結果、不正利用が確定すると、カードは無効となります。その後、カード会社は新しいクレジットカードを再発行します。
クレジットカードの不正利用が補償されないケース
クレジットカードには通常、紛失、盗難保険が付帯しているため、不正利用された場合の損害は原則として全額補償されます。
しかし、以下のようなケースではカード所有者の過失と判断され、補償が受けられない可能性があります。補償の適用条件はカード会社ごとに異なるため、必ず確認しておきましょう。
自己の過失と判断される場合
以下のような状況は、自己の過失と見なされ、補償の対象外となることがあります。
- カード裏面の署名欄にサインを記入していない
- クレジットカードに暗証番号を直接記載している
- 暗証番号を書いたメモをカードと一緒に保管している
- 生年月日や電話番号、車のナンバーなど、推測しやすい暗証番号を設定している
今、このような暗証番号を設定している場合は、早めに変更手続きを行いましょう。
補償期間を過ぎている場合
多くのカード会社では、不正利用が発生してから60日以内に報告があった場合に限り、補償が適用されます。ただし、この期間はカード会社によって異なるため、契約内容を必ず確認しておくことが重要です。
家族による不正利用の場合
家族や同居人がカードやカード情報を利用していた場合、紛失、盗難や不正利用の被害に遭っても補償されないことがあります。カードの管理は厳重に行い、情報を他人と共有しないようにしましょう。
警察に被害届を提出していない場合
クレジットカードの不正利用の被害に遭った際は、警察に被害届を提出しましょう。これにより、不正利用が自分の意思ではないことを証明でき、カード会社での補償手続きがスムーズに進みます。
また、補償を受けるために、被害届の受理番号が必要となる場合もあります。不正利用かどうか判断が難しい場合でも、カード会社に連絡した時点で警察にも届け出ておくと良いでしょう。
クレジットカード不正利用の予防と対策
クレジットカードの不正利用を防ぐためには、日頃からの管理と注意が不可欠です。以下に、予防策と対策をご紹介します。
クレジットカード情報は信用できるサイト以外では入力しない
オンラインショッピングでクレジットカードを使用する際は、信頼できるECサイトであることを確認してから、カード情報を入力するようにしましょう。サイトのURLが「https」で始まっているか、SSLによる暗号化通信に対応しているかを必ずチェックします。また、サイトの評判や口コミを事前に調べておくことも大切です。
安全性の高いECサイトの選び方
- 有名な大手ECサイトや、実店舗を持つ企業が運営するオンラインショップを利用する
- サイトのプライバシーポリシーや利用規約を確認し、個人情報の取り扱いについて明記されているかチェックする
- 第三者機関のセキュリティ認証を取得しているサイトを選ぶ
第三者機関のセキュリティ認証で代表的なものは「Norton Secured Seal(ノートンセキュアドシール)」です。サイト内にこのマークがあれば、セキュリティ対策が一定の基準を満たしています。
画像引用:digicert(https://www.digicert.com/jp/about)
これらの点に留意して、信頼できるECサイトを選ぶことが、不正利用のリスクを大幅に減らすことにつながります。
怪しいメールは開かない
フィッシング詐欺などで、クレジットカード情報を盗み取ろうとする犯罪者は、金融機関やECサイトを装った偽のメールを送ってきます。こうした怪しいメールが届いても、決して添付ファイルを開いたり、リンクをクリックしたりしないことが重要です。
また、メールに記載された連絡先に直接連絡を取ることも避けましょう。本物の企業であれば、公式サイトに記載されている連絡先を使用するはずです。少しでも不審に感じたら、メールは無視することが賢明です。
毎月の利用明細を確認する
クレジットカードの利用明細は、毎月必ず確認しましょう。心当たりのない利用がないか、金額や利用店舗に間違いがないかをチェックします。不正利用を早期に発見することで、被害を最小限に抑えられます。
クレジットカードの不正利用対策には「revolut」「Wise」のバーチャルカードがおすすめ
警視庁によると、クレジットカードの不正利用を防ぐ基本的な対策は、「クレジットカードを他人に見せない(見られる隙を作らない)」「クレジットカードを不必要に持ち歩かない」ことです。
そのため、RevolutやWiseが提供するバーチャルデビットカードが有効な対策として注目されています。
画像引用:revolut(https://www.revolut.com/)
Revolutとは?
Revolutは、スマートフォンアプリを通じて複数の通貨を保有し、送金や支払いに活用できるキャッシュレス決済プラットフォームです。2015年に英国でスタートし、欧州を中心に急速に普及が進んでいます。
世界中のユーザー数は3,500万人を突破しており、サービスの利便性が高く評価されています。日本でのサービス提供は2020年に開始されたばかりですが、着実に認知度を上げています。
Revolutのセキュリティ対策
- 厳格な本人確認と生体認証によるセキュリティ
- AIベースのアルゴリズムで不正な取引やパターンをすばやく検知
- 使い捨てバーチャルカードにより、カード情報の不正利用リスクを大幅に低減
- 24時間365日の専門チームによる監視と暗号化されたチャットサポート
- VISAとMastercardの消費者保護制度による補償
Revolutの使い捨てバーチャルカードとは?
Revolutの使い捨てバーチャルカードは、使用するたびに新しいカード番号が発行されるデジタルカードです。カード情報は各取引後に削除・更新されるため、万が一情報が漏洩しても、その後の不正利用を防げます。
また、不正取引が発生した場合でも、VISAやMastercardの消費者保護制度が適用され、金銭的な損失を最小限に抑えられます。普段あまり利用しない海外のオンラインショップなど、カード情報の不正利用が心配なときにおすすめです。
Wiseとは?
Wise(ワイズ)は、海外送金やデビットカードの発行などを行う企業です。海外送金では、リアルタイムの為替レートと格安の手数料を利用でき、手続きはすべてオンラインで完了します。また、40種類以上の通貨を保有し、いつでも両替可能です。
Wiseのセキュリティ対策
- 専任の詐欺対策チームによる24時間体制の監視
- リアルタイム通知で不正利用をいち早く発見
- 2要素認証によるアカウントと取引の保護
- 定期的な脆弱性スキャンと内部・外部の侵入テスト
- フィッシング詐欺対策の充実
- 取引ごとに凍結できるバーチャルカードで不正使用のリスクを大幅に低減
Wiseバーチャルカードとは?
画像引用:Wise(https://wise.com/jp/virtual-card/)
Wiseバーチャルカードは、スマートフォン、パソコンのアカウント上に存在するデジタルカードです。実際のカードを持ち歩く必要がないため、盗難や紛失の心配がありません。また、支払いごとにカードを凍結・解除できるため、不正利用のリスクを大幅に低減できます。
海外ネットショッピングの決済はもちろん、店舗や海外旅行先でも、Apple Pay、Google Pay、デジタルウォレットを使用してタッチ決済が利用できるのも嬉しいポイントです。
クレジットカードを不正利用されないためにしっかり対策しよう
今回は、クレジットカード不正利用の原因と手口、被害に遭わないための対処法を解説しました。予防と対策を日頃から心掛けることで、クレジットカードの不正利用のリスクを大幅に減らせます。また、万が一被害に遭った場合でも、早期発見と速やかな対応により、損害を最小限に抑えることが可能です。
クレジットカードの不正利用リスクを軽減し、オンラインショッピングや海外旅行を安全に楽しみたい方は、RevolutやWiseのバーチャルカードの利用を検討してみてはいかがでしょうか。先進的なセキュリティと利便性の高さが、あなたの日常をしっかりとサポートしてくれるはずです。