個人輸入で関税はいくらかかる?関税率の調べ方・便利ツールをご紹介
2024-02-15
海外のショッピングサイトが普及したことで、個人輸入も身近な存在になりました。
しかし、通関の手続きは、運送業者が代行してくれることが多いので、実際に関税がいくらかかるのか分からないことが多いのではないでしょうか。
本格的に個人輸入をビジネスにする際には、利益計算のために、どのくらい関税がかかるのか把握しておくことが重要です。
そこで、今回の記事では、個人輸入の際に関税はいくらかかるのか?関税額を計算する際に大切な関税率の調べ方、また、関税率を簡単に調べられる便利ツールをご紹介します。
ぜひ今回の記事を参考に、輸入したい商品にどのくらいの関税がかかるのか計算してみましょう。
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目次
個人輸入の関税の計算方法は?
個人輸入の関税の計算方法は、関税額=「課税対象価格」×「関税率」です。
この課税対象価格と関税率は、輸入の目的、輸入する品物の金額で決定します。
個人輸入の課税対象価格は目的によって異なる
課税対象価格は、品物を自分で個人使用するためにか、販売するために商業目的で輸入するのかによって変わります。
個人が自分で消費する目的で輸入した場合
個人が、自分で消費する目的で輸入した商品の課税価格は、「海外の小売り価格の60%」です。また、課税価格が1万円以下であれば関税はかかりません。
商業目的の場合
海外から輸入した商品を転売するなど、商業目的で輸入した場合は、「海外の小売り価格+輸入港までの運賃+保険料」です。
個人輸入の関税率は金額別で異なる
関税額を計算する際のもう一つの要素である「関税率」には、課税価格が20万円を超える貿易取引で適用される「一般税率」と、課税価格が1万円以上20万円以下の少額輸入貨物に適用される「簡易税率」があります。
課税価格が1万円以上20万円以下の場合は「簡易税率」
一つの輸入申告による課税価格の合計額が20万円以下の場合は、簡易課税が適用されます。郵便物の場合は、一つの包装の輸入貨物の課税価格の合計額が20 万円以下のものに適用されます。
ただし、郵送の際に、重量制限などで同一の差出人から同一の受取人に対し、分割して同じ時期に郵送された郵便物については、分割されたすべての郵便物の課税価格を合計した額になります。
簡易税率は、一般関税率を7つの大分類に区分したもので、個人輸入、商業輸入の両方に適用できます。簡易税率は、実行関税率に比べて分かりやすく、計算もしやすくなっています。
簡易税率についての詳細は、税関:少額輸入貨物の簡易税率を参照してください。
課税価格が20万円を超える場合は「一般税率」
一般税率とは、課税価格が20万円を超える一般的な商業貨物に対して適用される関税率です。たとえば、コンテナ船で運ばれる大きな荷物のイメージです。
関税率の調べ方は?
輸入したい品物の関税率を調べる方法は、大きく分けて3つあります。
- 税関の実行関税率表で調べる
- 日本関税協会のwebタリフで調べる
- 税関の関税分類の事前教示制度を利用する
それぞれについて解説します。
実行関税率表で調べる:税関
実行関税率表は、海外から日本へ品物を輸入するときにかかる関税の税率を確認できる表です。税関のホームページから誰でも確認できます。操作の手順は以下の通りです。
税関のホームページ「輸出入手続」→「実行関税率表」→「輸出入統計品目(実行関税率表)」
実行関税率表は、国の決定などで関税率が変わったときや、外国と新たにEPA等の協定を締結したときなどに年に数回程度更新されます。頻繁に改定されるので、必ず一番上の最新のものを選択してください。
それでは、実際に、輸出入統計品目(実行関税率表)で、コーヒーの関税率を調べてみましょう。
実行関税率表は、世界中の品物を21の大きなカテゴリー(部)で分け、さらに詳しく97の種類(類)に分類しています。コーヒー豆は、第9類であることが分かります。
次に、税率をクリックすると、コーヒーのなかでも、煎ったもの、煎っていないもの、カフェインを除いたもの、除いていないものなどの細かい分類が表示されます。
「煎ったコーヒーでカフェインを除いたもの」の関税率は、基本の税率は20%、コーヒーの原産地がWTO協定を結んでいる国の場合は12%、さらに特恵税率が適用される場合は10%となることが分かります。
さらに、原産地がEPAなどの経済連携協定を結んでいる国であれば、国ごとに決められた低い税率が適用されます。
税率は原則として、特恵税率→協定税率→暫定税率→基本税率の順に優先して適用されます。
※特恵税率は、特定の条件を満たす場合に限られるなど、さまざまなケースがあります。詳しくは、税関「税率決定までの流れ」を参照してください。
webタリフで調べる:日本関税協会
webタリフは、日本関税協会が運営するサービスで、実行関税率表と同じように関税率を調べられます。
日本関税協会「Webタリフ」にアクセスすると、このようなページが表示されます。
Webタリフは、原産国、地域を選択し、「一覧から参照」「統計番号」「キーワード」のそれぞれから検索できます。
一覧から参照する場合は、国または地域を選択し、「一覧から参照」をクリックします。
例として、原産国フィリピン、いったコーヒー豆、カフェインを除いたものを検索してみます。コーヒーは、第02部・植物性生産品、第09類・コーヒー、茶、マテ及び香辛料に該当します。
詳細が表示されるので、調べたい品物のHS番号をクリックします。
第09類の一覧が表示されますので、「いったコーヒー豆、カフェインを除いたもの」の欄を確認します。基本の税率は20%、原産国がWTO協定を結んでいる場合は12%、さらに特恵税率が適用される場合は10%となります。
そして、原産国がフィリピンの場合は、経済連携協定を結んでいるため、無税であることが分かります。
webタリフには、もう一つ便利な機能があります。それは、「他法令の確認」ができることです。一部の品物は、税関に輸入の許可を得るために、ほかの機関の確認が必要な場合があります。これを「他法令の確認」と言い、約30の他法令があります。
該当の品物の統計細分の3ケタの数字をクリックすると、下記の画面が表示されます。
この場合、植物防疫法、食品衛生法に適用する可能性がありますので、それぞれの法令に定められた手続きをする必要があります。
※適用する可能性がある法令を記載しており、商品によって対象にならない場合もあります。
関税分類の事前教示制度を利用する:税関
関税率を調べる場合、関税率表のどの番号に分類されるのかを調べなければなりませんが、専門知識が必要なことも多く、初心者が判断するのは難しいケースもあります。
そこで、おすすめしたいのが、税関の「事前教示制度」の活用です。これは、輸入しようとする品物の税率を事前に知ることのできる制度で、税関に、文書、メールで問合せて行います。
また、税関相談官室へ、電話で問い合わせることもできます。また、税関のウェブサイト上の事前教示回答事例(品目分類関係)を検索することもできます。
自分で調べた税率が不安な場合は、税関に相談してみましょう。
関税率を調べるために必要なHSコードとは?
実行関税率表の番号は「HSコード」と呼ばれています。正式には“Harmonized Commodity Description and Coding System”(商品の名称および分類についての統一システム)の略です。
このコードは、国際貿易で取り扱う全ての商品につけられており、日本もHS条約が発効した1988年からこのシステムに基づいた関税率表を採用しています。HSコードは「HS番号」「輸出入統計品目番号」「関税番号」「税番」といった様々な名前で呼ばれます。
HSコードの役割
HSコードは、輸出入される商品に割り当てられた品目分類番号です。HSコードがついていることで、商品がどのような物なのか世界共通で理解できます。
異なる国で商品名が違う場合や、製品名だけでは商品の特性を認識しにくい場合でも、HSコードがあれば、その商品が具体的に何であるかを明確にできます。
HSコードから、商品に適用される関税率や商品の原産地を示すルール(商品がどの国から来たかを示す基準)を調べられるのです。
HSコードの意味
HSコードの最初の6ケタは世界共通の番号で、以降のケタは品目をさらに細分化するために使用されており、各国によって番号は異なります。通常、HSコードは始めの6ケタを指しています。
HSコードは「類」「項」「号」からなっており、大分類である「部」から「類」「項」「号」と品目を細分化して示す構造となっています。
たとえば、「いったコーヒー豆、カフェインを除いたもの」のHSコードは、090122000で、このような構造になっています。
類 | 項 | 号 | 統計細分(下3ケタ) |
09 | 01 | 22 | 000 |
コーヒー、茶、マテ及び香辛料 | コーヒー(いつてあるかないか又はカフェインを除いてあるかないかを問わない。) コーヒー豆の殻及び皮並びにコーヒーを含有するコーヒー代用物(コーヒーの含有量のいかんを問わない。) | コーヒー(いったものに限る。)カフェインを除いたもの | ※国ごとに異なる |
個人輸入の注意点
個人輸入で気を付けなければならないのは、輸入禁止と規制品、医薬品や化粧品の数量制限
です。
カテゴリ | 条件 | 輸入可能数量 |
医薬品・医薬部外品 | 薬監証明が不要で特例として輸入可能 | 外用剤: 標準サイズ24個以内
毒薬、劇薬、処方箋薬: 1ヶ月分 その他: 2ヶ月分※ |
化粧品 | 一般的な個人使用のため | 標準サイズ24個以内
(口紅の場合、ブランド・色等にかかわらず24個以内) |
医療機器 | ・家庭用医療機器電気(マッサージ器など) 1セット
・使い捨て医療機器(使い捨てコンタクトレンズなど)2ヶ月分 ・体外用診断薬(排卵検査薬など) 2ヶ月分 | 用法・用量に基づく数量 |
再生医療等製品 | 個人使用のため(体の損傷した組織や機能を修復、再生、または改善するために使用される医薬品や医療機器) | 1ヶ月分以内 |
規制薬物 | 麻薬、向精神薬、医薬品覚醒剤原料等・医師からの処方箋がないと輸入不可 | 医師の処方箋に基づく数量 |
その他注意事項 | ・指定薬物、ワシントン条約に基づく制限物質、知的財産侵害物品等は輸入禁止 |
個人輸入の際に、特に注意したい点はこちらです。
- 医薬品等の個人輸入は、原則として自己使用を前提としています。他人への販売や譲渡は禁止されています。
- 特定の成分を含む医薬品等や、海外で脳機能向上等を標ぼうして販売されている製品については、健康被害や乱用のおそれがあるため、医師の処方箋がなければ輸入が認められません。
- 輸入が規制されている薬物に関しては、違反した場合には処罰の対象となります。
※1日3回、1回2錠服用する錠剤の2ヶ月分の数量は、3回×2錠×60日=360錠です。
まとめ
今回の記事では、個人輸入の際に関税はいくらかかるのか、関税率の調べ方、関税率を簡単に調べられる便利ツールをご紹介しました。これから個人輸入でビジネスを始めたい方は、ぜひ参考にしてくださいね。
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